2020年度所信

『感謝』~これからの明るい未来のために~

公益社団法人松戸青年会議所
2020年度理事長 山本 圭一

はじめに

 感謝という言葉は、よく聞く言葉でありますが、実に奥の深い言葉であります。辞書で意味を調べると、「ありがたいと思う気持ちを表すこと。また、その気持ち。」や「ありがたいと思うこと。ありがたさを感じて謝意を表すること。」と言った文章が出てきます。感謝自体は「表すこと」だけでなく「思うこと」だけでも成立することがわかります。しかし、その人が感謝をしているかどうかは「思うこと」だけで他人が理解することができるでしょうか。感謝をしていることを相手に伝えるためには、「ありがたいと思う気持ちを表すこと」が必要です。

 「ありがたいと思う気持ちを表すこと」は、一見簡単そうに見えますが、実に難しいことであります。難しくしている要因としていくつかあると考えます。

1つ目は、「ありがとう」と言えば良いわけではないという事です。言わないよりは言った方がいいと思いますが、心のこもっていない「ありがとう」は感謝の気持ちは伝わって来ません。まさに「ありがたいと思う気持ちを表す」ための「ありがとう」を発する必要があります。

2つ目は、ありがたいと思う気持ちを表すことが「照れくさい」と思うことが多々あるという事です。照れくさいから言わないという経験は誰しもあると思います。言わなかったことによって感謝の気持ちが伝わらず、相手に誤解を招く結果となることもあるのではないでしょうか。

3つ目は、人は良いところよりも悪いところを見つける方が得意だという事です。人に良いことをされたとき、その時は感謝の気持ちが生まれるかもしれませんが、それまでに嫌なことをされている方が多かった場合、素直に「ありがとう」とは言いづらいのではないでしょうか。街についても、松戸市という街の良いところもあれば、足りないところや不満なところがいくつもあると思います。そんな自分たちの街に対して素直に「ありがとう」と思えるでしょうか。その他にも要因はあると思いますが、常にありがたいと思う気持ちを表すことは大変難しいことがわかると思います。

 ただ、感謝の気持ちを多く持っている人は他人を悪い気にはさせないでしょう。感謝の気持ちを持っている人が多い団体は、地域から必要とされ、必ずや永年存続する団体となるでしょう。感謝の気持ちを持っているということは、何らかの形で表していかなくては他には伝わりません。松戸青年会議所がこれまで半世紀以上続いてきたことは大変ありがたいことであり、これからも存続していくために、過去に感謝し、これからの青年会議所の在り方を考えながら、地域の社会課題を追求し、その解決につながる運動を展開していくことで、感謝の気持ちを表していくことが重要です。

 地域の社会課題は、少子高齢化、地域の安全確保、経済の活性化など多岐に渡ります。その全てを解決できるようなことを考えるのは大変難しいことでありますが、2020年度においては、人口がおかげさまで増加している松戸市においても起こっている生産年齢人口の減少を2030年までに食い止めるために、今何をするかという観点で運動を展開していきます。この大きな課題を解決するための橋頭堡を青年会議所が築くことで、感謝の気持ちを表して行きましょう。

松戸市で最もSDGsを推進する団体となる

 2015年9月の国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であるSDGsは、日本政府においても2016年に「SDGs推進本部」を設置し、国内実施と国際協力の両面で率先して取り組む体制を構築しております。また、2019年の京都会議でも公表されましたが、外務省は公益社団法人日本青年会議所と「持続可能な開発目標(SDGs)推進におけるタイアップ宣言」に署名をしております。このSDGsに対する取り組みは、国や県のみならず、各地域においても行うべきものであり、一人ひとりが常に意識しながら日々の活動を行うことで、社会を良くし経済を良くするということが実現できると考えます。これまでも松戸青年会議所で行ってきている活動はSDGsにつながるものでありますが、今後もSDGsを意識しながら活動をすることにより、松戸市で最もSDGsを推進する団体となることが、地域に対する感謝の気持ちを表すことにもつながると確信します。

松戸への感謝の気持ちを表す

 平成27年以降も人口数が伸びている松戸市は、令和元年5月1日時点で人口が49万7千人を超えました。人口が堅実に増えている自治体は、全国でも限られた地域となっております。人口が増えている理由の1つとして、2017年に取得した「共働き子育てしやすい街ランキング(東京都を除く)」全国1位があります。同ランキングには2018年も上位に位置しており、現代の状況に合った住みやすい街づくりが展開されていることが理由として考えられるでしょう。他には東京都のベッドタウンとして発展をしてきた歴史や、21世紀の森と広場に代表される緑の多さからもわかる通り、「東京に近く緑も多く住みやすい」という特徴が上げられます。松戸市がこのように恵まれた環境となっているのは、先人たちが先見の明を持って松戸市をいかに魅力ある街にするかを考え、行動してきたからに他なりません。

しかし、松戸市の魅力は何かと問われると、即答できる方はどれほどいるでしょうか。松戸市には多くの観光資源が存在します。戸定邸や矢切の渡し、本土寺の紫陽花、松戸市立博物館など、歴史を感じるものや季節を感じるものなど、多岐に渡る様々な資源が存在します。これらの資源の良さがどれほど伝わっているのでしょうか。古くから松戸市に住んでいる方も、転勤等で松戸市に来られて浅い方も、この恵まれた観光資源を認識していない方も多いのではないでしょうか。

松戸市の魅力について、市民の声を集めることや過去の歴史を遡ることなど、確かなエビデンスを基に創出したものは、多くの市民に愛されるものとなり、長く行われるものとなると確信します。既存の観光資源を活かした松戸市の魅力を広く知っていただき、観光地という顔を再発見していくことが、地域への感謝の気持ちを表すことになると確信します。

生産年齢人口の減少を食い止める政策の1つに地域への愛着を持つということが解決策として考えられています。地域への愛着をいかに持っていただくかを考え、運動を展開していきましょう。

青少年への感謝の気持ちを表す

 子どもは、生まれてくることだけでも奇跡であり、子どもたちが健やかに育ってくれる、ただそれだけでも感謝をすべき存在であるといえます。子どもたちは遊びを通して様々な経験をし、様々な考え方を学びながら成長していきます。この経験が将来を考えるにあたり重要な材料になっていきます。松戸市においても様々な青少年向けのイベントは存在します。これらのイベントも青少年の良い経験となるでしょう。

 松戸青年会議所においても過去様々な青少年育成事業を行って参りました。どの事業も

青年会議所ならではの、ただ楽しいだけではない貴重な経験が出来たものばかりでした。この青年会議所ならではの貴重な経験をしていただくことが、青少年への感謝の気持ちを表すことになり、健全な育成を行う一助となります。

 また、生産年齢人口の減少を食い止める上で必要なことは、「松戸市で育った青少年が松戸市に住み続けることを選択する」ことだと考えます。青少年がいかに松戸市に愛着を持つか、その観点が重要な点となります。

 2020年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、松戸市では、事前キャンプ実施に関する覚書を、ルーマニアとドミニカ共和国と締結しております。青年会議所には国際の機会を感じることができる事業が多々ありますが、日本に、さらには松戸市にいながら国際の機会を感じることができるまたとないチャンスがあります。国際交流を図るような体験を多くの青少年にしていただくことも、青少年への感謝の気持ちを表すことになります。

 さらに、地域の歴史や文化などの情報を、教育を通じて青少年に知って頂くことも地域への愛着につながります。文科省から降りてきた教育科目をただこなすだけでなく、地域の歴史や文化を通じて、地域への関心をより深めていく、そういう経験をすることも青少年にとっては貴重な時間となります。国際経験ができる環境にあることや、地域への関心を深めることを通して、青少年に地域への愛着をより一層もっていただけるように運動を行っていきましょう。

拡大を通して組織に感謝の気持ちを表す

 20歳から40歳までの青年経済人しか在籍できない青年会議所において、会員拡大は重要かつ基本的な運動であります。青年会議所がより大きな組織体として、より大きな運動を継続していくためには欠かせないものです。

 松戸青年会議所はここ数年メンバー数が減少しています。より大きな運動をしていくためにも、組織体を大きくしていかなければなりません。数は力であることは疑いようのない事実です。2020年度は拡大を担当する委員会を設け、全事業のオブザーバー動員計画を実行し、実績の管理を行います。オブザーバーを動員するためには、オブザーバーを確保しなくてはなりません。オブザーバー確保について、松戸駅近郊以外での活動がなかなか出来ていない状況にあります。松戸市内全域から募集活動ができれば、多くのオブザーバーを確保できるようになるでしょう。松戸市内の多くの場所で拡大活動を行うために、2020年度は交流会を通した拡大活動に重点をおきます。オブザーバーの数を確保し、各例会へのオブザーバー動員を増やすことで、組織維持のみならず発展に貢献し、組織への感謝の気持ちを表していきましょう。

人財育成を通して組織に感謝の気持ちを表す

 近年の松戸青年会議所は、入会3年未満のメンバーが多く在籍しており、平均在籍年数も短くなっております。入会して間もなく理事に就任されるメンバーも多く出てきており、青年会議所の意義をわからないまま役職に就くことも多くなってきています。これまでは在籍年数の長い先輩が、入会間もないメンバーに青年会議所の意義を説明できる機会がありましたが、そのような機会も減ってきております。しかし、青年会議所には人材育成の場として、アカデミープログラムが多く存在しています。JCプロトコルやJCI公式コースなど、青年会議所の設立経緯や存在意義などを説明できる機会を設けることができます。こういった機会を提供することで、多くの人財を育てることができ、組織力を強化させることが組織への感謝の気持ちを表すことにつながります。

感謝の気持ちを持った組織運営をする

 例会や総会などの青年会議所の事業を円滑に進めていくことも、メンバーへの感謝の気持ちを表すことになります。メンバーが活動しやすいように気を配り、事務局の整理整頓を行うことや、諸会議の設営を行うことを通して、組織の在り方を考えつつ、やるべきことを卒なく行うことで、感謝を表現していきましょう。

家族や職場への感謝の気持ちを表す

 青年会議所に入会したメンバーが、明るい豊かな社会の実現のための活動を行うことができるのですが、この活動を続けていくことができるのは、メンバー自身の力だけではありません。家族の理解、職場の理解があるからこそ、活動を続けていくことができるのです。自分の身の回りの方々からの理解が無いままに続けて行くことは、精神的にも厳しく、身も心も疲弊してしまい、モチベーションが上がらなくなってしまうでしょう。メンバー1人ひとりが、青年会議所運動を楽しんで行っていただくためにも、日頃の感謝を家族や職場の方々に伝える必要があるのではないでしょうか。私たちの活動は、決してやましいものではありませんし、私たちはただの飲み会団体に属しているわけではないのです。私たちの活動を、家族や職場の方々に知って頂くことで、活動への理解を図り、メンバー1人ひとりが活動しやすい環境を構築する必要があります。感謝の気持ちを表す上で最も照れやすい対象の1つが、この家族や職場の方々だと思いますが、是非感謝の気持ちを表し、伝えてみましょう。

財務管理とコンプライアンス遵守を通して正しく感謝の気持ちを表す

 お金は組織の血液とも言われ、お金の流れを正しく行うための財務管理は健全な組織運営を行う上で非常に重要な役割です。収入と支出のバランスを的確に把握し、体調に応じた活動を行うことで、健康を維持し、永続する組織になっていきます。固定費の管理も重要ですが、活動規模を維持またはより大きな事業を行うためには、収入の種類を様々検討することが必要です。法人としての賛助会員の募集を前年に引き続き行っていく他、クラウドファンディングや寄付金収入、行政の協力等による補助金収入など、手段はたくさんあります。他LOMで行っている情報や日本JCの情報など、多くの情報を収集して有効な収入獲得策を考え、実行していきましょう。

 また、活動を行うにあたり、その活動で使用する資料等が法令順守をしているものかどうかをしっかりと確認し、参加者に不快な思いをされないように準備を行うことが多方面に対する感謝の気持ちを表すことにつながります。コンプライアンスについての正しい知識を学び、確認していきましょう。

行政や関係諸団体に感謝の気持ちを表す

半世紀以上松戸青年会議所が存在でき、毎年様々な活動を行うことが出来ているのは、行政や地域の様々な関係諸団体の御協力、各地会員会議所メンバーの存在があってのことです。旧年の感謝を伝えるとともに、2020年も引き続きの御協力を賜れるよう、新年祝賀会を開催し、多方面への連携をより強固なものにすることで、地域の課題解決に少しでも貢献できる事業を円滑に進めることができるよう邁進していきます。

また、新年祝賀会は年始最初のLOMとしての事業であり、毎年開催される事業でありますが、メンバーの平均在籍年数が短くなっている昨今、何事も無く終わるようにするだけでも大掛かりな事業になってきています。参加して頂く方々に感謝の気持ちを表すには、執行部を中心にLOMが一丸となって新年祝賀会を設営していくことが重要ではないかと考えます。2020年が良い年になるよう、年始最初の事業を大切に行い、参加者へのおもてなしを通じて感謝の気持ちを表して行きましょう。

むすびに

 平成から令和に変わり、新たな時代を迎えました。2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年となります。かつて1964年に東京オリンピックが開催されたとき、オリンピックまでは景気が良く、終わった1965年は「昭和40年不況」と言われたほど景気が悪化したという歴史があります。今回のオリンピックではオリンピック終了による同じような現象が起きることは想定されていないようですが、アメリカや中国などの動きによる景気悪化がさけられないのではないかと予想されております。我々日本人は、景気悪化による悪循環を様々なアイデアを使って克服して来ました。政府の政策や企業の業種転換、新たな事業形態の構築など、様々な手段を用いて革新を行ってきました。今回のオリンピック後についても、大きな革新を行うチャンスでもあると言えます。過去があるから今があるということを意識した上で過去に敬意を払い、過去の人々がどのように苦境を乗り越えてきたかを学び、将来のために今できることを着実に実行していきましょう。

 先にも述べましたが、松戸青年会議所では、メンバー数の減少も去ることながら、メンバーの平均在籍年数が短くなっているという大きな問題もあります。メンバー数の減少がもたらす資金力不足による事業規模の縮小という問題も大きいですが、メンバーの平均事業に対する発想力の衰退がより大きな問題であると考えます。地域課題の解決に向けて何をすれば良いのかを考え行動することは、地域を牽引するリーダーとなるべき我々にとって大変重要なことです。松戸青年会議所が半世紀を超えて存在しているのは、地域課題をしっかりと見つめ、解決に挑んでこられた多くの諸先輩方のおかげであります。諸先輩方に感謝の気持ちを表すためにも、過去の諸先輩方がどのような考えで事業を行ったのかを学び、近年の地域課題は何かをしっかりと捉え、課題解決に向けて何をすべきであるかということを、我々現役メンバーで考え、行動することが大切です。2030年がどのような社会になっているかという推計データは多く存在しています。人口減少、より一層拍車のかかる少子高齢化など、悲観的なデータばかりです。しかし、悲観的なデータはただ我々に警鐘を鳴らしているにすぎません。このまま進むとこうなるから今のうちから対策を立てて行きましょう。向こう10年が良い社会になるために、今何ができるのか。それを一緒に考え、行動していきましょう。

メンバーの平均在籍年数が短くなっているという問題は、青年会議所運動に革新をもたらすチャンスであるとも言えます。単年度制であることを活かして、経験年数の浅いメンバーが要職に就き、より良い組織にするために互いに研鑚していくことも重要です。しかし、革新は破壊と紙一重であります。破壊にしないためには、我々が根本を学び、歴史を学び、確かなエビデンスの基に将来を見据えた上で変化を起こしていくことが必要です。根本となるものや歴史を学ぶことは、大切だとわかっていながらも、時には面倒だと思うこともあるでしょう。しかし、歴史を学ぶことで、伝統として残すべきものとそうでないものの違いを認識することができます。残すべきでないものと思っていたことが、実は必要悪で、伝統として残すべきだということも多々あります。残すべきものとそうでないものをしっかりと見極めてより良い組織になり、時代に合ったものとなります。

過去に感謝し、将来を見据えて現在(いま)を歩こう
自身の周囲の人々に感謝し、現在(いま)を歩こう

松戸青年会議所が永続的に地域に必要とされる組織になるために、地域、家庭、職場への感謝の気持ちを表し、将来の松戸がどうあるべきかをみんなで考え行動していき、松戸を明るい豊かなまちにしていきましょう。

以上

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