2021年度所信
『飽くなき成長』~己の成長に限界なし、共に希望に満ちた未来へ~
公益社団法人松戸青年会議所
理事長 戸内 宏
はじめに
2020年、我々は全く想像をもしない状況を目の当たりにしました。100年に1度とも言われるような新型コロナウイルスの流行により未曾有の状況に陥り、ウイルスへの警戒と社会活動への自粛を余儀なくされ、オリンピック・パラリンピックにおいてはオリンピック史上初めて延期される等、その影響は計り知れないものであります。一瞬にしてこれまで当たり前だと思っていた全ての日常が一変してしまいました。ウイルスとの共存を強いられる新しい生活様式の中で少しずつ社会活動を取り戻しつつありますが、経済回復への道のりはまだまだ遠く、ウイルスへの恐怖も消えたわけでなく、まさに混沌とした時代に突入したといっても過言ではないでしょう。そのような時代を迎えた今だからこそ、我々はJayceeとして今一度「青年会議所とは何なのか」ということと真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。
日本の青年会議所は
混沌という未知の可能性を切り拓き
個人の自立性と社会の公共性が
生き生きと協和する確かな時代を築く為に
率先して行動することを宣言する (第3期:2001年JC宣言より)
青年会議所の始まりは、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という志です。過去10年を振り返ってみても2011年には東日本大震災、毎年必ずといっていい程に見舞われる台風豪雨災害。その度に傷つき、幾度となく心が折れそうになりながらも、我々日本はそのような大きな壁を必ず乗り越えてきました。その背景には住み暮らすまちのために運動を展開する青年会議所が少なからず寄与していると思います。先に記載したJC宣言にもあるように、我々は未知の可能性を切り拓いていかなければなりません。新たな混沌とした時代を迎え、今まさにJCとしての真価が問われていると私は思います。我々松戸青年会議所もいよいよ来年55周年という節目の年を控え、4年前の創立50周年の時に定めた「50年代運動指針」の折り返し地点を迎えようとしています。「我々は愛する地域のため、環境の変化に適応できるリーダーとなる人財を育み、常に当事者意識を持ちながら市民が主体性を持った社会を実現するための運動を展開することで、行政や市民から信頼される組織となることを誓う」((公社)松戸青年会議所50年代運動指針より)今、我々自身がそんなリーダーになれているのか。今、我々自身が当事者意識を持てているのか。節目の年を来年に控えている本年だからこそ、今一度見つめ直し、真剣に向き合わなければなりません。松戸の明るい豊かな社会の実現を目指して、この先も未来永劫力強くJCとしての運動を発信していく組織であり続けるために、我々メンバー一人ひとりが青年経済人として、またJayceeとして成長し、そしてメンバー一人ひとりが主役として自信に満ち溢れた確固たる組織を築かなければなりません。
拡大は出会い、そして力となる
ここ近年の松戸青年会議所の会員数は40名前後といった状況であります。「数は力なり」と言われるように、明るい豊かな社会の実現を目指したJC運動を幅広く波及させていくためには一人でも多くのメンバー、同じ志を持って活動してくれる沢山の仲間たちが必要不可欠です。また、40歳定年制や単年度制といった青年会議所にしかない制度による「常に新陳代謝を繰り返す」といったメリットを最大限に活かすためにも新しい仲間による「新たな風」は必要不可欠です。組織を弱体化させないためにも、活動自体の規模を縮小させないためにも、毎年しっかりと拡大活動を行っていかなければなりません。そのためには、拡大を担当する委員会だけに任せるのではなく、「会員拡大はメンバー全員の使命」とメンバー全員が責任を持ち、主体的に会員拡大に取り組まなければなりません。勿論拡大に対して人それぞれ得手不得手はあるでしょう。中にはオブザーバーを中々呼ぶことが出来ない環境にいるメンバーもいるかもしれません。しかし、そういった状況を決して他人事にすることなく、「何が出来るのか」を真剣に考えて互いにフォローし合いながら全員で取り組みましょう。そして、入会してくれたメンバーが気持ちよく活動に取り組んでくれるためには、入会に導く際にJCのことをわかりやすく、きちんと説明することが大切です。そのためには、先ずはメンバー一人ひとりがしっかりとJCのことを理解していなければなりません。つまり、全員で拡大活動を行うということは相手にしっかりと説明出来るくらいまでJCのことを理解していなければならない、ということになるのでメンバー一人ひとりのJayceeとしての成長にも繋がります。さらに、新しいメンバーの拡大は人との出会いです。出会いは人を成長させます。新しく入会してくれるメンバーも、今いる既存のメンバーも、お互いにこれまで出会ったことがないような人と出会うことは自分を成長させることに繋がります。拡大は自分自身を成長させる「学びと出会いの場」であると楽しみに捉え、メンバー一人ひとりが拡大に責任と主体性を持ち、「メンバー全員拡大」で取り組みましょう。
成長に不可欠なアカデミー
積極的にJCに向き合っているメンバーも勿論沢山いますが、入会して歴が浅すぎるあまりJCの価値を見出すことが出来ていなかったりすることで、何となくやっていたり、やらされている感でやっているメンバーも少なからずいると思います。しかし、仕事のためや自分を成長させるため等、JC以外のフィールドにおいても自分自身にとってプラスになるということがちゃんとわかれば前向きに取り組まない理由はなくなると思います。私自身も最初はJCすら知らなかったですし、入会当初はJCに何の価値があるのかもわかりませんでした。しかし、例えば人との付き合い方とか、話し方、仕事の仕方や物事の考え方等々、JCで経験して学ばせて貰ってきたことは自分の生活において本当に幅広く役立っていますし、私自身の人生をプラスにしてくれたと断言できます。JCは沢山の経験を得ることが出来る機会という扉を提供してくれますが、その扉は自分自身でしか開けられません。機会という扉を自ら開けられる人になって欲しい、そして自分を成長させるための経験を沢山して欲しいと思います。メンバー一人ひとりがJCに価値を見出すことが出来るために、JCに対して興味や関心を持って貰えるような、またJCのみならず仕事やプライベートにも有益になるような事業を実施し、その体験を通して機会を掴みに行く楽しさをメンバー一人ひとりのJayceeとしての成長のみならず、青年経済人としての成長にも繋げていきます。また、青年会議所が行う地域に対する事業は、市民のために行うものでありますが、同時に自分自身のために行うものであると考えます。地域の様々な方々に協力を得ながら行う事業は、それを達成することで、自分自身への自信にもなりますし、協力を得る過程を経て、自分の仕事にもつながる可能性が生まれます。地域に対する事業を通して、自分を成長させ、仕事にもつなげられるようになりましょう。
攻める広報活動
今やインターネットは情報の宝庫です。いろいろな情報がインターネット上に出回っている通り、テレビのニュースや新聞紙面で情報を入手するより私たちはインターネットからいち早く様々な情報を見聞きすることが出来ます。私たちの活動内容を多くの市民に発信していくためには、その発信力やスピード感から考えてもインターネットによる広報活動は必要不可欠です。松戸青年会議所でもホームページやFacebook等々、これまでも様々な方法で広報活動を行ってきておりますが、それらの広報手段を上手く利用し切れていないように感じます。松戸青年会議所の存在を一人でも多くの市民に知って貰うということは私たちの運動が市民から市民へと伝わっていく波及効果に繋がりますし、私たちの活動に興味を持ってくれる人が増えれば拡大にも繋がりますし、それは組織体としての体力を増やすことにも繋がります。また、自分たちの活動が広報を通して「見える化」にするということはメンバーの達成感やモチベーション向上にも繋がります。さらに、多くの市民に松戸青年会議所の運動内容を知って貰うということは、「青年会議所がこういうことを行っているなら、こんなことをやってほしい」など、市民が私たちに求めることを情報として入手することが出来やすくなり、その声に耳を傾けていくことは市民とより良好な相互関係を構築することに繋がり、それは今まで以上に信頼される組織になることに繋がります。松戸青年会議所という存在、私たちの活動内容を多くの市民に発信すると共に、青年会議所という存在を市民に定着させて信頼される組織へと更にも飛躍していくために、現状の広報ツールに甘んじることなく、ホームページやSNSをブラッシュアップさせることは元より、例えば活動内容を報告するような街頭ポスターを市内各地に掲示したりする等、新しい取り組みにも着手して参ります。「攻めの広報」、決して守りに入ることなく果敢に挑戦していきましょう。
子どもたちと共に学ぼう
子どもは国の宝です。未来の担い手である子どもたちの健全な育成は明るい社会の実現には必要不可欠であり、責任世代である我々青年の責務であります。今の子どもたちが大人になる頃、この国は、このまちはどんな風になっていることでしょう。例えば、学校の授業にタブレットを用いたりオンラインで授業をしたりすることなど自分たちの子どもの頃からは想像すら出来ないと思います。ましてやウイルスの流行でこれまで当たり前に通っていた学校にも行かれない、友達とも遊べない、そんなことを経験するなんて誰も想像していなかったと思います。子どもたちが、変化の激しいこの時代を生き抜き輝かしく成長していくためには、いかなることにも対応出来る力を多くの子どもたちに育成する必要があると思います。失敗に臆することなく、どんな逆境にも立ち向かっていかれるような「生きる力」を身に着けて貰えるような事業を実施し、いろんなことを自分の目で見て体験する経験を通して子どもたちの成長に繋げて参ります。そして、子どもたちと真剣に向き合い、責任を持って伝えていくことでメンバー一人ひとりの成長にも繋げて参ります。私たちが子どもたちに伝えたことがすぐに成果となって表れるものではないかもしれません。しかし、私たちが撒いた種は必ずや子どもたちが生き生きと輝ける明るい未来に繋がるということを信じて、このまちの未来の担い手である子どもたちを真剣に育成して参りましょう。
メンバーの成長・やる気を上げる組織運営
組織を安定して運営し、LOMとしての活動を円滑に行っていく上で、組織の基盤となって支える総務系の委員会の担いは重要です。総務系の委員会が組織として当たり前のことを当たり前に行ってくれているから私たちは安心して安定して活動に取り組めるのです。メンバーの下支えとなる委員会だからこそ、LOMの活動をより一層活発にしていくためには総務系の委員会が主体となってメンバーを巻き込むような行動を示していく必要である、と私は思います。例えば例会や事業の準備活動や開催結果等々を成果物として一目でわかるような工夫をし、その成果物をメンバー一人ひとりの目で見ることで達成感に繋げられるような取り組みを取り入れる等、メンバーのモチベーションを向上させ、メンバー皆が積極的に取り組んでいかれるような取り組みを果敢に取り入れていって欲しいと思います。その取り組みが必ず組織全体の運営やメンバーの成長に大きな相乗効果をもたらすことに繋がると確信します。
SDGsを真剣に学び取り組む
2015年に国連サミットで採択された「SDGs」。近年、テレビやCM、新聞やSNS等で目にすることが多くなり、生活の中に少しずつ浸透してきているように感じます。松戸青年会議所でも2020年から本格的にSDGsへの取り組みを意識した活動を行っておりますが、メンバー全員がきちんと理解しているかと言われると疑問が残るのが現実です。持続可能な開発目標であるSDGsはJCの運動そのものです。明るい豊かな松戸の実現のために、「SDGsって何なのか」ということをメンバー全員がしっかりと理解し、私たちの運動や活動の質を高めて参りましょう。
健全な組織運営には欠かせない財務管理とコンプライアンス遵守
例会や事業等、様々な活動を行うには当たり前ですが必ず費用が発生します。その活動費用は基本的にはメンバーの年会費で賄われています。自分たちの年会費が正しく使われているのかということをメンバー皆が納得できるような透明性を持った財務管理を徹底することはメンバーの組織に対する安心感に繋がります。また、社会に信用される組織であるためにはコンプライアンスの遵守も必須です。財務管理とコンプライアンス遵守を徹底して行い、健全な組織運営と遂行して参ります。さらに、LOMで行われている財務やコンプライアンスを担当者だけが理解するのでなくメンバー皆が知識として修得できるような取り組みをも実施し、その知識をJCだけでなく各々の仕事にも役立てていかれるようになって欲しいと思います。
55周年を意識した準備活動
2022年には松戸青年会議所は創立55周年を迎えます。創立当初から現在に至るま で、社会情勢が目まぐるしく変化する中で、いつの日も先を見据えてその時代に即した運動を展開し、輝かしい功績を沢山残して下さいました。我々がこの先も地域に必要とされる組織であり続けるためには、メンバー一人ひとりの自己成長が大きなカギとなる、これまで以上に高い意識を持つメンバーが一人でも多く増える必要がある、と私は思います。また、広報により松戸青年会議所のことをより知ってもらえるようになれば、市民のニーズ・ウォンツを把握することができるようになり、それを整理することで、今後の松戸青年会議所がどのような運動を展開すべきかを考える最高の材料を揃えることができると思います。メンバー皆が同じ方向に意識を持てるよう、そして、今後の松戸青年会議所がより一層市民や行政から信頼される組織となるよう、55周年準備会議を設置し、記念すべき年をしっかりと行っていくためには何が必要なのかを真剣に考えられる材料をまとめ、55周年にきちんとバトンを引き継ぐための準備を遂行して参ります。
むすびに
組織を活かすも殺すも全ては「人」であると私は思います。自分たちが属している組織に対し、一人ひとりが価値を見出し理解がなされた時、個々が持つ力を最大限に発揮できるのではないでしょうか。そんな個々の英知と勇気と情熱が一つの大きな塊となった時、このまちの人の心を動かす力強い運動に繋がると確信します。我々松戸青年会議所がいつの時代も明るい豊かな社会の実現を目指す主体的組織であるために、メンバー一人ひとりが自分自身を高めていかなければなりません。まずは自分自身の成長のために学びの歩みを止めることなく行動していきましょう。
明るい豊かな松戸の実現のために
松戸JCの未来のために
成長の機会を自ら掴もう
機会という扉を自分の意思で開いたとき、人は必ず成長します。
その扉をメンバー皆に開いて貰えるよう、自らが先頭に立って行動することを誓います。